2026.10.04

てんのうです!

松阪記念の振り返りコラム、今回は決勝戦を振り返ります。

 

個人的に決勝の最大の見どころは、⑦新山響平が主導権を握ったとき、その後ろにいる⑨阿部拓真、③阿部力也がどこまで展開を生かせるかだった。

 

新山は3車ライン。

 

持ち味である先行力を生かして、レースの主導権を握りたいところ。

 

一方、その後ろには前日の準決勝で新山の逃げを交わした⑨阿部拓真、さらに今節鋭い伸びを見せていた③阿部力也。

 

北日本ラインにとっては、理想的な形を作れるかがポイントだった。

 

レースは新山が前に出て主導権を握る。

 

ここから地元の浅井康太が動いた。

 

浅井は新山ラインをそのまま走らせることを嫌い、阿部拓真の番手へ入り込む動き。

北日本ラインの隊列を崩し、レースを動かそうとする。

 

しかし、これで終わらない!

 

浅井の動きを見ていた④杉浦が一気に仕掛ける。

 

浅井が隊列を揺さぶったことで生まれた流れを逃さず、杉浦がカマシ気味に前へ踏み込んだ。

前から浅井、さらに杉浦と動かれ、新山にとっては決して楽な展開ではない。

 

それでも新山は主導権を譲らなかった。

 

ここが今回のレースで非常に強かったところだ。

 

動かれても下がらず、自分のラインを守りながら踏み続ける。

 

最終的には新山-阿部拓真-阿部力也という形に戻り、北日本ラインが主導権を握ったまま勝負どころへ入った。

 

新山が先行し、拓真が番手、力也が3番手。

 

しかし、レースはここからさらに動く。

 

①郡司浩平が仕掛ける。

 

節間を通して見ると、郡司は決して車の出が良く見えたわけではなかった。

 

だからこそ、決勝でどこまで動けるのかという部分にも注目が集まった。

 

その郡司が、ここで踏み込んだ。

 

阿部拓真は番手として当然の仕事をする。

 

前を守るために郡司を牽制する。

 

この瞬間、レースの隊列にほんのわずかな隙が生まれた。

そして、その隙を郡司は逃さなかった。

 

拓真が前を止めに行った一瞬。

 

そこへ郡司が踏み込む。

 

牽制を受けながらも外を伸ばし、最後は先行する新山を捕らえた。

 

結果は、

①郡司-⑦新山-③阿部力也。

新山は最後まで先行を貫いて2着。

 

浅井、杉浦の動きを受けながらも主導権を守った内容は非常に強かった。

 

阿部拓真も番手として前を守る仕事をした。

 

その動きがあったからこそ、郡司の仕掛けを完全に止める可能性もあった。

 

そして、その後ろにいた阿部力也が最後に3着まで伸びた。

 

北日本ラインとしては、決して何もできなかったわけではない。

 

むしろ、新山が主導権を取り、拓真が仕事をし、力也が最後に伸びるという、それぞれが役割を果たしたレースだった。

 

それでも最後に勝ったのが郡司だった。

 

新山が作った流れも、北日本ラインの形も最後まで残っていた。

 

ただ、レースの中で選手それぞれが脚を使い、番手が仕事をする。

 

その瞬間に生まれたほんの一瞬のチャンスを見逃さなかった。

 

節間の動きからは良く見えなかった車の出を、最後の勝負どころでしっかり発揮した。

 

これこそが、S班としての郡司浩平の強さだったのかもしれない。

 

競輪は、何度も大きな展開が動くように見えて、最後の勝負を決めるのはほんの一瞬だったりする。

 

今回の松阪記念決勝もまさにそうだった。

 

新山の先行力、浅井の地元の意地、杉浦のカマシ、阿部拓真の番手の仕事、阿部力也の鋭い追い込み。

 

それぞれの動きが重なった末に生まれたわずかな隙。

 

そこを逃さず踏み込んだ郡司が、最後に松阪記念のタイトルを手にした。

 

大きな展開を制したというより、最後に訪れた一瞬を制した郡司はさすがとしかいいようがない。

昨年のグランプリ王者があと2ヶ月のグランプリ争いに名乗りをあげる!

 

次回の寛仁親王牌(GI)でこの男の走りに目が離せない。

 

今回の決勝は、そんなレースだった。