2026.10.30

どうも!てんのうです!

 

明日から防府競輪場にて

防府市制施行90周年記念 開設77周年記念競輪 周防国府杯争奪戦

が開催されます!

そんな数々のドラマを生んだ防府記念で語っておきたいレースがある!

 

それは

防府競輪開設56周年記念「周防国府杯争奪戦」。

 

数々のドラマが生まれてきた防府記念の歴史の中でも、地元ファンの記憶に深く刻まれる決勝戦となったのが、富弥昭が念願の記念競輪初優勝を飾った一戦。

今や「防府の選手といえば?」と聞かれれば、多くの競輪ファンが真っ先に清水裕友の名前を挙げるだろう。

 

防府を代表するトップレーサーとして、全国にその名を轟かせている。

しかし、清水が登場する以前の防府を振り返ると、地元を代表する選手として真っ先に名前が挙がる存在を探すのは、決して簡単ではなかった。

 

全国の強豪と渡り合える選手が数多く揃っていたわけではなく、山口勢にとって地元記念は決して楽な戦いではなかったはずだ。

 

そんな、決して選手層が厚いとは言えなかった防府・山口勢にとって、地元で開催される記念競輪は特別な舞台。

 

地元ファンの期待を背負いながらも、他地区の強豪を相手にタイトルをつかむことは容易ではない。

 

だからこそ、この防府記念で富弥昭が成し遂げた記念競輪初優勝には大きな意味があった。

 

地元の意地を見せ、山口にも強い選手がいることを証明した一戦。

 

富自身の長年の努力はもちろん、後輩・井山和裕との連係でつかみ取った勝利は、防府の競輪史を語るうえでも忘れられないドラマとなった。

 

主役となったのは、地元・山口勢の結束力。

 

そして、その中心で大きな仕事を果たした井山和裕の存在だった。

地元開催という大きなプレッシャーを背負いながら、最後まで諦めずに勝機をつかんだ富。

 

レース後に地元ファンへ何度も頭を下げる姿からも、このタイトルに懸けていた思いが伝わってきた。

 

地元ラインの結束が生んだ最高の結果

 

決勝戦の並びは、三宅達也-小川巧-小倉竜二の中四国ラインに、武井大介-新田康仁の南関ライン。

 

そして井山和裕-富弥昭-吉永和生の地元を中心としたラインに市田佳寿浩が単騎で続く形となった。

 

レースは誘導以下、三宅ライン、武井ライン、井山-富-吉永の順で周回を重ねる。

 

まず武井が上昇して先頭に立つと、赤板から井山も動き、武井を抑えて先行態勢に入った。

 

しかし、武井も簡単には引き下がらない。

 

中団に構えると、打鐘とともに一気にスパート。

 

最終ホームでは武井が前に出切り、レースの主導権を握る展開となった。

 

ここで終わらなかったのが井山。

武井の仕掛けに対してすぐさま巻き返しに出る。

 

自らの優勝だけではなく、後ろに控える富にチャンスをつなぐための攻め。

 

地元記念の決勝という舞台で、迷いのない仕掛けを見せた。

 

そして、その井山の捲りの勢いを生かした富が勝負に出る。

 

最終3コーナーでは新田康仁に一発当てて前進を阻み、絶好のタイミングで自ら捲りを放つ。

 

井山の頑張りに応えるように前団を捕らえると、そのまま押し切ってゴール。

 

地元ファンの大声援を背に、ついに念願の記念競輪初優勝を手にした。

 

2着には富を追走した吉永和生が入り、ラインでワンツーフィニッシュ。

 

3着には直線で巧みに伸びた小倉竜二が食い込んだ。

 

「山口は弱くない!」地元ファンへ届けた魂の言葉

 

レース後の富のコメントには、この優勝の意味が凝縮されていた。

 

「井山君がゆっくりと出てくれたからね。とにかく慌てず落ち着いて駆けてくれと思っていました」

 

さらに勝負を分けたポイントとして、最終3コーナーで新田に当てたことを挙げた。

 

あの一発がなければ新田に前へ出られていた可能性もあり、勝負どころでの判断が優勝を引き寄せたことは間違いない。

 

そして何より印象的だったのは、地元で記念を獲ることの難しさを語った場面だ。

 

富自身、地元の防府ではF1ですら優勝経験がなかったという。

 

それだけに、今回の記念初制覇は単なる一勝ではない。

 

長年応援してくれた地元ファンへの最高の恩返しとなった。

 

表彰式では大勢のファンを前に、途中で声を詰まらせながらも「山口県は弱い弱いと言われてきましたが、井山君のようにいい後輩もたくさんいるので、応援よろしくお願いします。そしてもっと競輪場に足を運んで下さい!」と呼びかけた。

 

その言葉には、地元山口の競輪界を盛り上げたいという強い思いが込められていた。

 

何度も何度も頭を下げる富の姿は、勝者としての喜びだけではなく、応援してくれた人たちへの感謝そのものだった。

 

井山の献身が生んだ、忘れられない地元記念

 

この優勝を語るうえで、井山和裕の存在を忘れることはできない。

 

井山はレース後、「富さんが優勝できて本当に良かった」と振り返り、自分よりも富の方がプレッシャーを感じていたのではないかと語った。

 

事前には「ダメだったらスイマセン、自分のタイミングでいってください」と伝えていたという。

 

自分の勝利だけを考えるのではなく、後ろの富にタイトルを獲らせたい。

 

その気持ちが伝わるような積極的な走りだった。

 

井山自身も準決勝を勝ち上がり、自信につながる開催になったと話している。

 

競輪はラインの競技だ。

 

先頭を走る選手が自らの力を出し切り、その思いを後ろの選手が結果につなげる。

 

今回の決勝は、まさにその魅力を凝縮した一戦だったと言えるだろう。

 

富弥昭の記念初優勝は、本人の意地と勝負勘だけで成し遂げたものではない。

 

井山の献身的な仕掛け、吉永の追走、そして地元ファンの大声援。

 

そのすべてが重なって生まれたタイトルだった。

 

「山口は弱くない!」

 

富が残したこの言葉は、単なる優勝インタビューの一節ではない。

 

地元の誇りを懸けて戦った選手たちの意地であり、山口の競輪を応援し続けるファンへのメッセージでもあった。

 

防府記念の歴史に刻まれた、地元ラインの絆と感動の優勝劇。

 

富弥昭にとって、そして山口の競輪ファンにとって、いつまでも色あせることのない記念すべき一戦となった。